年末年始やお盆の帰省シーズンが近づくと、なんとなく気が重くなる…そんな経験はありませんか?
「親孝行だから帰らなきゃ」と思いつつも、正直に言えば片道数万円かけてストレスを溜めに行くのが辛いという方も少なくないはずです。
実は2025年4月、株式会社ビズヒッツが「実家に帰りたくない理由」についての大規模調査を実施し、その結果が大きな反響を呼んでいます。
この記事では、500人のリアルな声から見えてきた帰省ストレスの実態と、専門家の見解を交えながら、帰省との向き合い方について考えていきます。
調査概要:どんな人が回答したの?
まず、今回の調査の概要を確認しておきましょう。
- 調査機関: 株式会社ビズヒッツ
- 調査期間: 2025年4月17日~21日
- 調査方法: インターネットによる任意回答
- 有効回答数: 500人(女性366人/男性134人)
- 回答者の年代: 20代 19.2%/30代 41.4%/40代 24.2%/50代以上 15.2%
重要なポイントとして、この調査は「実家に帰りたくないと感じることがある人」を対象にしている点があります。
つまり、帰省が好きな人は含まれていないため、ネガティブな意見が多く集まる傾向にあることは留意しておく必要があります。
それでも、これだけ多くの人が帰省にストレスを感じているという事実は、見過ごせない社会現象と言えるでしょう。
「実家に帰りたくない理由」ランキングTOP7
さっそく、調査結果をランキング形式で見ていきましょう。
第1位:親が口うるさい(21.2%)
ダントツの1位は「親が口うるさい」でした。実に5人に1人以上がこの理由を挙げています。
具体的にはどんな声があったのでしょうか。
「せっかちな親なので、久しぶりに帰ると口うるさくいろいろ言われる」(30代 男性)
「帰るたびに、子どもの進学についてあれこれ言われるから」(40代 女性)
「離婚後ひとりで生活しているせいか、『再婚はしないのか』『いい人はいないのか』など、私の人生に入り込もうとするため」(50代 女性)
口を出される内容は、結婚・出産、就職、子ども(親にとっては孫)の進学など、子どもの生活や将来についてが多いようです。
親としては心配からの言葉なのでしょうが、子ども側からすれば「また言われるんだろうな」という憂鬱感が帰省のハードルを上げてしまいます。
第2位:会話を面倒に感じる(9.0%)
「親の『笑いのノリ』や『話題の種類』がおじいちゃんおばあちゃん化してきているなと思って、しんどく感じる」(30代 男性)
「父親が相手の気持ちも考えず、ずーっと喋り続けていて疲れる」(40代 女性)
「母の話が長すぎて、相手をするのに疲れるからです」(50代 女性)
「話が長い」「一方的に話される」「同じ話を何度も聞かされる」といった声が目立ちました。
親が一方的に話してしまう背景には、「子どもと久しぶりに会えて嬉しい」「普段話す相手がいなくて寂しい」という気持ちがあるのかもしれません。
また、高齢になると認知機能の低下から同じ話を繰り返すこともあります。
第3位:実家が遠い(8.2%)
「新幹線を使えば便利だけれど出費がかさむ。高速バスだと時間がかかりすぎてしまう」(30代 女性)
「子どもが小さい頃、長距離の移動が大変だったので実家に帰るのがおっくうになってしまった」(50代 女性)
物理的な距離の問題は、時間的負担と金銭的負担の両面でストレスになります。
JTBの調査によると、2024年末~2025年年始の国内旅行平均費用は43,000円。帰省で往復すれば、家族で数万円から十数万円の出費になることも珍しくありません。
安い移動手段を選べば体力的な負担が増え、快適な移動を選べば費用がかさむ。このジレンマがストレスの原因となっています。
第4位:地元の知り合いに会いたくない(7.8%)
「私は大学受験に失敗したので、有名大学に進学した高校時代の友人に会いたくない」(30代 男性)
「地元の知り合いや雰囲気が大嫌い」(50代 男性)
意外かもしれませんが、実家や家族ではなく「地元」に帰りたくないというケースもあります。
過去の人間関係のトラウマや、学生時代の失敗体験、劣等感を抱く経験があると、地元に戻ることでネガティブな感情が呼び起こされてしまうのです。
第5位:家族と不仲(7.6%)
「親との関係性が悪いため、帰ってもいいことがない」(30代 女性)
「親との関係が良くない。『親からの過干渉』『理解されない』『否定的な言動を受けてきた』などの経験があり、帰省が苦痛になることもあります」(50代 男性)
家族との関係が悪化した原因として、「過干渉」「自分の行動や意思を否定されてきた経験」「威圧的な言動」などが挙げられました。
中には、帰省するだけで身体症状が出るほどのストレスを感じる人もいるようです。
同率5位:家が汚い(7.6%)
「物が散らかっていて掃除もおろそかなので、汚いと感じる」(20代 女性)
「家が古くてぼろく、トイレが汚い」(40代 男性)
実家で暮らす親が高齢になり、掃除が行き届かなくなっているケースも。特に水回りの清潔さは帰省のモチベーションに大きく影響するようです。
第7位:家が寒い(6.4%)
「寒すぎてお風呂に入るのがおっくう」(30代 女性)
「純日本家屋の広い和式の家なので、冬は廊下や玄関が寒すぎる」(50代 女性)
古い家では断熱性が低く、冬場は特に厳しい環境になります。「自分の部屋にエアコンがない」という声もあり、身体的な不快感がストレスにつながっています。
帰省するときの気持ちは「面倒」が1位
「実家に帰るとき、どんな気持ちになるか」という質問では、以下の結果となりました。
- 面倒に感じる(30.4%)
- 疲労感を抱く
- 憂鬱に感じる
- 楽しみに思う
- 早く今の自分の家に帰りたい
- プレッシャーを感じる
- 帰省したくない
「面倒」「疲れる」「憂鬱」といったネガティブな感情が上位を占める一方で、「楽しみに思う」という声も4位に入っています。
帰りたくないと感じることがあっても、基本的には家族が好きで、帰省を楽しみにしている人もいるということです。
帰省の頻度は「年2〜3回」が最多
実際の帰省頻度を聞いたところ、最も多かったのは「年2〜3回」(25.6%)でした。
日本では「お盆と正月くらいは帰省する」という風潮があるため、この結果は納得できます。
注目すべきは、年に1回以下の人が4割近くを占めている点。全体的に帰省頻度は低い傾向にあることがわかります。
親子関係の専門家はどう見る?
今回の調査について、親子関係カウンセラーの川島崇照氏(おとなの親子関係相談所代表)は次のように考察しています。
「家族だから当たり前と思って親が配慮を欠いていると、子どもに強い警戒心や抵抗感を抱かせてしまうという結果が見えてきます。
子どもが成人した後も結婚や仕事について遠慮なく口を出すことで、子どもは実家を『批判される場所』として認識してしまいます。
親は心配や愛情から助言をしているつもりでも、子どもにとっては人格を否定されているような感覚になり、実家への帰省を避けたくなるのは自然な現象です。
良好な親子関係を保つためにも、子どもには親とは違う独自の価値観や生き方があるという認識を持つことが大事ですね。」
帰省ストレスを軽減する5つの方法
では、帰省ストレスとどう向き合えばいいのでしょうか。専門家の意見や調査結果を踏まえて、具体的な対処法をご紹介します。
1. 滞在時間を短くする
「実家には1泊まで」「日帰りにする」など、滞在時間を区切ることでストレスを軽減できます。
長時間一緒にいるとお互いに気を使って疲れてしまうもの。短い時間で質の高いコミュニケーションを取る方が、結果的に良い関係を保てることもあります。
2. ホテル帰省という選択肢
実家に泊まると生活リズムや環境の違いでストレスが溜まりやすくなります。
近くのホテルや旅館に宿泊し、日中だけ実家で過ごす「ホテル帰省」は、家族全員の気疲れを減らす効果があります。
3. 話題の「地雷」を避ける工夫
結婚、出産、仕事など、毎回口を出される話題がわかっているなら、先回りして話題を変える工夫も有効です。
例えば、旅行の写真を見せる、趣味の話をする、孫の動画を一緒に見るなど、ポジティブな話題を用意しておくと良いでしょう。
4. 「決定事項」だけを伝える
親の口出しに悩んでいる場合は、相談ではなく「報告」のスタンスを取ることで、意見を言われる余地を減らせます。
「こうしようと思うんだけど…」ではなく「こう決めました」と伝えることで、干渉されにくくなります。
5. 帰省しないという選択もOK
臨床心理士の南舞さんは「帰省する頻度を減らしてみたり、物理的に距離を取りながら関わっていくのは、決して悪いことではない」と述べています。
自分を責めずに、ストレスを感じずに付き合える距離感を探していくことが大切です。
帰省が義務になって苦しいなら、電話やビデオ通話で顔を見せるだけでも親孝行の一つの形と言えるでしょう。
親の立場でも考えてみる
実は、帰省される側の親もストレスを感じているというデータもあります。
子どもや孫が帰ってくることは嬉しいものの、普段の生活リズムが崩れたり、大人数の食事を用意したりすることで疲れてしまう親も少なくありません。
「せっかく帰ってきてくれたのだから、おもてなししなければ」というプレッシャーを感じている親もいます。
帰省がお互いにとって負担になっているなら、正直に話し合って、新しい形を模索することも一つの選択肢です。
「親孝行だから我慢して帰るべき」なのか?
質問者の方は「親孝行だと思って我慢して帰るべきでしょうか?」と問いかけています。
この問いに対する答えは、一つではありません。
確かに、親が元気なうちに顔を見せておきたいという気持ちは大切です。「後悔したくない」という理由で帰省している人も調査では30人いました。
しかし一方で、無理をして帰省することで関係が悪化する可能性もあります。
帰省のたびにストレスを感じ、親に対してイライラしてしまうなら、それは親子双方にとって良い時間とは言えないでしょう。
川島崇照氏の言葉を借りれば、「親も子も、それぞれが自分らしく生きることを認め合えた時、真の意味での良好な関係が築ける」のです。
帰省の新しいスタイルを考える
近年は、従来の「みんな一緒に実家に集まる」スタイルにこだわらない新しい帰省の形も注目されています。
- セパレート帰省: 夫婦がそれぞれ自分の実家に帰る
- 父子帰省: 夫と子どもだけで実家に行き、妻は休息
- ホテル帰省: 宿泊は近くのホテルで、日中だけ実家へ
- オンライン帰省: ビデオ通話で顔を見せる
「こうあるべき」という固定観念を捨てて、自分と家族にとって心地よい形を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ:あなたの気持ちを大切に
今回の調査で明らかになったのは、「実家に帰りたくない」と感じることは決しておかしなことではないということです。
さまざまな親子関係や家庭環境がある中で、実家に帰りたいと思う人もいれば、帰りたくないと思う人もいるのは当然のこと。
大切なのは、自分の素直な気持ちを認めること。
そして、帰省が義務や苦痛になってしまっているなら、新しい形を模索する勇気を持つことです。
帰っても帰らなくても、正解・不正解はありません。
あなた自身が心地よいと思える距離感で、家族との関係を築いていってください。
【調査出典】
株式会社ビズヒッツ「実家に帰りたくない理由に関する意識調査」(2025年4月実施)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000242.000041309.html
【参考】
- JTB「年末年始(2024年12月23日~2025年1月3日)の旅行動向」
- Women’s Health「帰省ストレスの対処法」(臨床心理士・南舞氏)
- おとなの親子関係相談所(川島崇照氏監修)
ピックアップ記事



コメント